目に見えるものと 目に見えないもの
2006年ごろだったか、 東京の郊外・小金井という街に事務所を移し 仕事しているときに鳥の鳴き声が聞こえてきて、ハッと気が付いた。
あー、こんな音とか空気とかってなんて心地いいんだろう
それから仕事もどんどん集中できるようになり、 エニシングの売上という数字(イコールお客様にお金を払っていただき前掛けを制作し届ける回数)も増えて行った。
豊かな人生とはなにか? 都心にいた時には気が付かなかったことに 小金井に出逢って気が付き始めた。
それは自分にとって驚きだった。
仕事は大都会でやるもの、 高層ビルで24時間空調が効いた中でやるほうがはかどる、 とふつうは思う。
だけど僕が経験したことは違った。
太陽が昇ると事務所裏の窓から朝陽が差し、 鳥の鳴き声が聞こえ、 気分転換にはけの森の湧水を見に行き、 野川を散歩し、 仕事に戻る。
2011年に「1号前掛け」が完成し、愛知豊橋の芳賀さんから試作品が届いた。
触ってみた。
なんで心地いいんだろう、なんて風合いがいいんだろう。
心地とか、風合いとか、 そういう目に見えないもの、数字に表せないもの(表す必要もないもの)、 その中に真の豊かさがあるんじゃないか、、、、
僕らが一心不乱に受験勉強して、良い大学、良い(と言われる)会社入って、 マイホームを買って、往復2,3時間かけて仕事場にむかって、
何も疑わずそれが良い人生だ、と思っていたことが、
違うんだね、そうか、そうなんだね、
と気付かせてくれたのが小金井の地であり、鳥であり、湧き水であり…
今そこで会社も家族も根付かせてもらって生きていることにありがたさを感じる。
小金井に出逢って学んだことは 目に見えない事のほうが大切だということ。
目に見えるもの、数字ですぐに表せるもの、
その中には真の豊かさ、人と人との真のふれあい、は実はほとんど見えてこない。
気が付いている人はとっくに気が付いていたんだろうけど、
僕もそれが小金井で暮らすことで分かってよかったな、と心から思う。
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