5周年回顧録〜自営業の旅 第一章 その2〜
思えば一歩踏み出すまで、随分時間がかかった。
会社では、アイスクリームの営業としてやりがいのある得意先をたくさん持たせてもらっていたし、営業成績も順調で、大阪本社には何度も呼んでいただき、充実した会社員生活を送っていた。
が、次第に、
自分はもっとできるんじゃないか、 長く険しい道を選んだほうが、死ぬ時の自分に「結構楽しい人生だったじゃないか」と語りかけられるんじゃないか、 それならば今、27歳の時点でチャレンジした方がいいんじゃないか、
という思いが強くなる。
元々、広島で自営業の家庭に育ったこともあり、いずれは独立できればなあ、と思ってはいたが、まさかこんなに早くこの思いになるとは思っていない。
毎日’営業車’を運転しながら自問自答する日々が続く。
「チャレンジしてみたい、でも正直恐い。」
結局、決断するまで約1年かかった。
きっかけになったのは、その1年前に辞め、自分で事務所を開いた同期の一言だった。
埼玉の得意先から帰る車の中で、久々に携帯電話で話したのだが、一人でメシを食っていくってどんな感じなのか?というのが今の自分には非常に気になる。
自分の話をしつつ、友人の状況も聞いていると、
「まあ、やってみると大変なこともあるけど楽しいよ。そろそろやったらいいじゃん。」
そんな何気ない一言に大きく背中を押され、
「そっか、これでたとえ潰れたとしても死ぬことはないだろう、まあ、それで死んでもチャレンジしたことで悔いは無い」
と心から思えるようになる。 今考えると、随分大げさな決意だが、その当時はそんな風に思っていた。
その後、とにかくやってみるしかないだろう、とTシャツ屋での独立を決心する。
2000年6月、終業後、上司に退職したい旨を伝え、10月20日の最終日となる。
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