◆第4回:「殺される!?ニューヨーク一人旅編」
◆第4回:「殺される!?ニューヨーク一人旅編」
日本のへなちょこ一学生がアメリカ西海岸に来て半年、紆余曲折を経て英語もほとんど苦労しなくなり、現地の友人も出来たことで渡米当初とは比べ物にならないほど充実した日々を送っていた。
毎朝大学のそばにあるオープンカフェでエスプレッソとブルーベリーマフィンを買い朝食をとる。その時間にバイトしているカフェのお姉さんと一丁前に英語で会話し、教科書内の分からない単語を教えてもらったり、日本について教えたり、そんな余裕も出てきた…。
そんな中、日系スーパー’ヤオハン’で日本の価格の3倍もする「地球の歩き方〜ニューヨーク版」を購入し、ニューヨーク一人旅決行。大学の週末の休みを使って3泊4日の旅。日本では考えられないが、なんとロスとニューヨークでは時差が5時間もある!
それにしてもニューヨークは物価が高い。西海岸では十分きれいなモーテルに40ドルあれば泊まれたが、ニューヨークではほとんど100ドル以上。とりあえず、一人旅のバイブル「地球の歩き方」で見つけた一番安そうなホテルを目指し、空港からバスでマンハッタンへ向かう。
今でもはっきり覚えているが、夕日に照らされてバスの窓から見えるマンハッタンの景色は圧巻だった!近くで見れば恐ろしいほどビルが密集していてそこまできれいなものではないが、西海岸とは違い街や建物に歴史を感じさせてくれる。しかも気温も大違い。高層ビルの大都市には寒さが合っているなあ。
キングコングも登った’エンパイアステートビル’近くの安ホテルに泊まったが、これが悲劇の始まりだった…。 まず入り口で驚いたのが、ロビーが全面覆われていて従業員の顔が全く見えない。カギやお金を交換する小窓があり、まさにパチンコの景品交換所!このホテルは決して日本でいう’ラブホ’ではない(笑)。ランクは低いが普通のホテルでもこんな状況!どうなってるんだ、ニューヨーク。1泊60ドル、2泊以上すると一泊5ドル分のディスカウントがあるとのことで2泊分のホテル代を一度に払う。
こんな時は虫の知らせというか、嫌〜な前兆はあるもので…。 まず、テレビがきれいに映らない。嫌なところに来てしまったなあ、と思いつつ、バスルームでシャワーを出してみると黒い水が…。
室内で立て続けに起こる不快な出来事を紛らわそうと、夜のエンパイヤステートビルへ観光に。夜のニューヨークはスリル満点だったが、ビル内に入ってみると観光客も多い。展望台からの眺めは言葉に表せない!当時は貿易センタービルも悠々とそびえ立っていた…。 その後、ロシア系のおじさんがやっている小さなサンドイッチ店で’凍った’サンドイッチを購入、夕食代わりに食べ、例のホテルへ帰る。こんな時は寝るに限るが、時差の影響もあるのか全く寝付けない。
仕方なくオンボロテレビをつけると、メキシカンプロレス’ルチャリブレ’をスペイン語でやっている。ボーっとしつつ時間が過ぎていく。そろそろ寝ようと本格的に寝る準備に入ってたその時‥。
おそらく夜中の3時〜4時ぐらいだったと思うが、急にドアの鍵穴をカチャカチャと触っている小さな音が…。明らかにこの部屋を空けようとしている。 「え?まさか?強盗さん??」極度の緊張。
「ヤバイなあ、盗むだけかな?殺人犯かな?」「ニューヨークの初日にこんな汚い部屋で死にたくないよな〜」「万が一の惨事があっても俺が今ココにいること知ってる人なんて誰もいないから、当分日本には伝わらないよな〜」「まあまあ落ち着いて!って話せば分かってくれるかなあ、いやそんなにNYは甘くないよな〜」などと様々なことが頭を過ぎり、結局二つの選択肢に迷っている自分がいる。
一つは‥「ベットから飛び起きて、ドアのガギが反転しないように必死に押さえておこう」 でも、力づくで開けられてその前に俺が立っていたら撃たれるかもしなないしなあ〜。 二つめは‥「ドアが開いて金盗まれるぐらいなら、ひたすら寝てるフリしてじっとして置こう」 結局後者を選択、シーツのような薄〜い毛布を頭からかぶりひたすら祈る‥。すると、
「チクショー、この部屋は開かねえ‥。」というこれまた小さな声が‥。諦めて別の部屋に行ったのか、その場を立ち去ったようだ。 今考えると、ただ部屋を間違った酔っ払い、だと思うんだが、その時ははじめてのニューヨーク、怖いのなんのって…^^;
時間にするとわずか3分ほどだろうが、かなり長〜い時間だった。あーこのまま行くと殺されるのかな、という気持ちを初体験、これをクリア?してことで、「どんな街でもへっちゃらだい!」とその後の旅行に恐怖は無くなった。人生何事も経験だね!
2泊目はまたまた懲りずにそのホテルへ泊まる。が厳重に開かないよう工夫したこともあり?、2泊目は何も無くのんきにグッスリ寝ていた(笑)。
そんな忘れられない経験を経てアメリカ生活はさらに加速。あっという間に帰国の日を迎えることになる。
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今はなき、世界貿易センタービルにも昇った
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