2010/09/04

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何も無い中での前掛けイベント
いよいよイベント当日。
朝、6時に起床。
だが、実演で見せるか、が決まっていない。

御大・芳賀さんに
「西村くん、まあ、今更あせっても仕方ないぞ。うまい朝飯でも食おう。」
と言っていただき、

朝8時に芳賀さん、秀夫さんのホテルへ向かう。

まず、染め職人・秀夫さんの部屋へ向かう。
秀夫さん「荷物どうだった?」

西村「すみません、ダメですね…」

秀夫さん「そうか…、そういえば…」

と、ご自身の荷物の中から小さな鉛筆大のものを取り出す。

「何かの役に立つと思って、型紙を彫る’刃’は持ってきてるんだけど…。あと、渋紙も少しならあるよ。」

秀夫さんは、何かの時に、と、わざわざその2つを持参してくれていた。

刃は、前掛けを染める時の「型」を彫る時に使う。
その染めの型は、「渋紙(しぶがみ)」という和紙に柿渋を塗って紙を強くしたものを使うのだが、その渋紙も持って来てくれていた!

「え〜!!!それですよ〜!それ!!!
ぜひ、今回の実演イベントのメインは、秀夫さんの型紙彫りの実演にしましょう!!!」

まず、その型を彫る作業を目の前で見てもらって、その後’和紙’の上に型染めの簡単な体験をしてもらう。

それで今日のイベントの骨子は決まった。

どうでしょう?

秀夫さんも「俺でよければ…」と快諾してくれる。

8時からホテル1階のイングリッシュブレックファーストを食べさせてくれるレストランで美味しい朝食。
見るからにイギリス紳士、という立ち振る舞いの店員さんから

「あなた方3人は、見るからにイタリア来たんですね?」

「(お、これがイングリッシュジョーク?)そう、惜しいですね、イタリアの隣の国から来たんですよ。」

というやりとりを^^;

朝食のイングリッシュマフィンは、写真の通り、本当に美味しく、元気が出てきた。

さてさて、今日は大変な一日になるぞ〜

朝食後、10時開店のチャイナタウンのお店へ、地下鉄で秀夫さんと向かう。

古い雑居ビルのようなお店で「和紙」「染め体験用の刷毛」「インク」を調達。和紙は高かったなあ…^^;

それから会場となる紀伊国屋さんへ。

手伝っていただく文子さんやユーコさんも到着し、控室で準備を開始。

秀夫さんは出際よく、ご自身の刃を使って和紙をポストカード大に切ってくれる。

その横で、インクを刷毛に付けて、それぞれ5種類の漢字の書かれた小さな型紙を和紙の上に置いて、ステンシルのように色をつけてみると…、
うん、これはいける。
きっとNYの人たちにも楽しんでもらえますよ。

14時、まずは、僕の英語でのトークが始まる。

来ていただいたお客さまにより満足してもらうため、それぞれ紙とペンを配り「クイズ形式」にする。

前掛けに関する質問に答えてもらい、一番の正解者に景品をプレゼント。

TOYOTAと前掛けの関係から、日本のものづくり、仕事観についてもお話する。

僕からのトークが終わった後は、いよいよ秀夫さんの型彫りの実演!

「志」

の文字をゆっくりと彫ってくれる。
会場の皆さんも、じーっと静かに興味深く集中して見てくれている。

「出来ました」と型紙をかざすと、柄の部分から向こう側の明かりがさしこんで来てすばらしい。

Wow!パチパチパチパチ〜と、拍手がわきあがる。

大成功だ。

「では、1階に会場を移して、染めの体験をしましょう。」

漢字の書かれた小さな5つの型紙の中から1つを選び、和紙に染の体験をしてもらう。

無料、ということもあり、次々とお客様が集まってきてくれる。

前掛けについて、染めについて、型について、漢字の意味について、など、お一人お一人と話しながら、前掛け染め体験をしてもらう。

2時間ちょっとで約60名の方々が体験してくださった。

商品がまったく無いため、会場の紀伊国屋さんの売上、には貢献できなかったが、
いろんな人たちと話し、時にはメールアドレスも交換し、ご縁が出来た。

初日3時間のイベント、なんとか終了。

みなさん、本当にありがとうございました。

「よし、NYで一番うまい肉、を食べに行こう!西村くん、予約してくれないか。」

御大・芳賀さんの一言で、みんなで終了後、美味しい美味しいステーキを食べに行く。


長い長い一日が終わる。

終わって思ったことは

・いざとなれば「裸一貫」でなんでもできる

・その時に頼れるのは自分の腕のみ
(たまたま僕は人に伝える、話す、ということが出来た。
職人の秀夫さんは、まさに腕一本、で言葉の通じない相手にも伝えることが出来る)

・売上、はゼロだったが、前掛けが10枚売れたところで、せいぜい4万円。
そのためにNYに来ているのではない。もっともっと大きなものを掴みに来ているんだから今回は1日60人に人たちと前掛けを通じて話が出来たことで善し、としよう

・何にも無くても、前掛け1枚あれば、世界中で伝える、ということはできるんだ

非常に貴重な体験をした。
これをクリアしたことでもっと腹も据わったかなあ^^;




同時に思ったこと…

今回の悔しいやり場の無い思いは、きっと将来取り返すぞ
こちらがイギリス紳士!
会場控室で染め体験のテスト
本番!秀夫さんの彫りの実演
NYの皆さんにも喜んでもらう
こちらの女性とは、藍、紺色、などについてじっくりお話することができた

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ハンドル Anything 西村
性別
星座 しし
血液型 A
ホームページ http://www.anything.ne.jp
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メッセージ ■有限会社エニシング代表取締役社長

1973年広島市出身、1996年中央大学卒。大学3年のとき、1年弱、アメリカ一人旅(留学)。
2000年、5年お世話になった食品メーカー江崎グリコを脱サラ。当初は「漢字TシャツAnything」開始。原宿などの路上で販売を始める。

2004年から前掛けの製造を開始し、帆前掛けの産地・豊橋の職人さんたちと出会い「前掛けAnything」スタート。
ニューヨークへの前掛け飛び込み営業、毎年のNYやロンドン、パリ展示会、など様々な経験をしながら現在に至る。
2019年6月に330坪の土地を買い、豊橋前掛けファクトリー設立。
悪玉コレステロールUPに悩む、3児の父(^-^)
●趣味:プロレス格闘技、旅、うまい酒を気の合う仲間で楽しむこと

この日記では、日々思ったことや仕事などについて思うままに書いております。


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