なぜ、ラグりんと鴨川は“しぶとい”のか。
アニメツーリズム協会が8月26日に発表した「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)」に鴨川市が選ばれた。 例によって、この件についてはまたネットで騒ぎ立てている人たちがいるけど、(おそらく大人の事情がある中で…)素直に選ばれたのは光栄だし、良くも悪くも話題にしてもらえているのは「ありがとう!」って思う。 なお、選定に関して、鴨川市も製作委員会ももちろんノータッチ。協会員でもないし、鴨川市は純粋に選ばれたみたい。
今ではこういった話題が出る度に“聖地の失敗例”の筆頭として槍玉に挙げられる鴨川であるが、活動は細々と現在も続いている。 我々が目指すは作品の舞台となった2032年。それまではどんなかたちであれ、活動を継続していくつもりだ。 そんな取り組みを河嶌太郎さんが記事にしてくれ、Yahoo!ニュースにアップされた。
アニメ聖地88に認定の鴨川市「輪廻のラグランジェ」 2032年への挑戦 https://news.yahoo.co.jp/byline/kawashimataro/20170830-00075136/
さっそくネット住人の話題となり、2ch、そして、まとめサイトで鴨川が“はけ口”にされている。 そもそも、まとめサイトはそれこそ“お金”を目的として運営されているものであり、儲けるために炎上をさらに拡大させるという煽りをして、それに残念なネットユーザーが乗せられているという構図だから、書かれていることに一喜一憂しても全くの無駄なのだが……。
ある意味、ラグりんと鴨川の取り組みは“しぶとい”と思われているだろう。
では、なぜ、我々はしぶとくやっているのか。 テレビ放送から5年が経過した今でも活動を続けているのか。
今週末には原画展開催にあわせて、インターネットラジオ公開収録イベントを計画しており、鈴木監督、諏訪プロデューサーに加えて、なんと主役の京乃まどかを演じた石原夏織さんが来てくれることになった。 実は石原さんは個人的に既に原画展を訪れてくれてもいる。 そんなこともあって、イベントの参加申込者は石原さん登場のリリース直後から激増し、当初想定を上回る方が参加してくれそうな勢いとなっている。 正直、ここまで、とは思わなかったが、イベントが多くの人で盛り上がれば、それはそれで嬉しいし、良い一日にしたい。
そんな状況ではあるが、鴨川推進委員会は有志で構成され、現在10人にも満たないコアメンバーで活動している。 予算もほとんどない。市からの助成も今年度限りで終わる予定で、今後はそれこそ手弁当の活動となってくる。 しかし、我々は活動を継続していくだろう。活動を止めるという選択肢はない。
それはなぜか。
答えは単純。我々自身が楽しんでいるからだ。 雑な言い方になってしまうが、好きで続けているのだ。 そういうメンバーが集っているのである。
そして、まだ作品に鴨川に思いを寄せて、遥々訪れてくれるファンたちがいる。 そんなファンたちが一人でもいるなら、我々は活動を続ける。
聖地化が俗に言う“成功”を収め、何千人、何万人という人たちが押し寄せて、経済的にも潤えば、それはそれで楽しいだろうし、すばらしいことだと思う。 でも、成功ってそれだけじゃないと思う。 別に成功とか、失敗とか、集客しなきゃ、とか、地域振興をしなきゃ、とか、ストイックにやることもない。 義務感でストイックにやっていては、息が詰まってしまうし、長続きもできないだろう。
アニメそのものがもっとファジーなもので、楽しみあふれるものだったら、我々も肩の力を抜いて、好きにやれば良い。 楽しんでやれば、きっとその楽しさが人にも伝わると思う。
そうして、ラグりんと鴨川は制作現場、地域、ファンの関係性が深まり、互いの強い信頼関係の中で三位一体となって活動を継続してきた。 それが制作資料の移設という業界初の画期的な事業を実現させ、それを元に原画展も開催できている。
我々みたいなやり方でつなげていく地域もあっても良いのではないだろうか。 結果、それがアニメ文化の広がりにもつながるんじゃないかな、って思う。
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