メガソーラー問題を別の角度から見る
一昨日の日記で現在計画されていて、にわかに問題になっているメガソーラー発電所のことについて、私は反対という立場を表明したわけだが、実はこの問題、さまざまな見方をしなければならないとも思っている。
もちろん、私は終始一貫して反対の立場であり、その根拠としては、自然エネルギー(グリーンエネルギー)を得るために広大な山林を伐採して自然破壊するなんて、あり得ない!という単純明快なものである。
ただ、ある見方をすると、こういった事業が計画されることにこれまで鴨川市、もっと言えば鴨川市だけでなく全国的に放置されてきた山林の荒廃という問題が根底に存在するのだ。
鴨川市の山林の多くが自然林かというと、そうは言えない事情がある。古くより木材としてスギが植林された人工林とともに、鴨川の山を駆逐しているのがマテバシイ(トウジの樹)である。マテバシイは昭和のはじめの頃まで薪材として重宝されていたが、薪を燃料として使われなくなると山林は放置され、繁殖力が強いこともあり、瞬く間に広がっていった。 マテバシイは常緑樹であり、一度マテバシイに覆われてしまうと森は暗くなり、下草も生えにくくなる。これはスギなどの常緑針葉樹林でも同じことが言える。
国産スギもまた輸入材に押され、今も管理・整備がなされている東京大学千葉演習林などの一部の山林を除いて、手入れもされず、スギ林も荒れ放題となっている。 林業は廃れ、山師もいなくなり、鴨川市の山林は荒廃が進んでいるのだ。これは長年の問題であり、最近では間伐材の活用などが模索されてはきているが、大きな成果を出せているとはいえない。
林業が盛んだった頃、薪材が重宝されていた頃、“お金を生み出す”経済活動の場であった山林は、いまでは土地の価値も二束三文となり、地主にとってはお荷物となっているのが現状だ。
そんな経緯を経て、それならば、へたな開発をするならば、エコ・エネルギーと言われる太陽光発電所にしてしまって、お金も入ってくるのであれば良いだろう、と山林の持ち主が考えるのもある意味理解できる。
したがって、メガソーラー発電所はなんとかやめてもらうにしても、反対だけで終わるのではなく、実はそういった計画を生み出してしまった山林の荒廃というものにも目を向け、根本的な解決を図っていかなければ、将来的に同じような問題が起こり得るのである。 その視点も私は持たなければならないと思う。
山林を伐採してはげ山にしてしまうのはあり得ないとしても、では、全く山林に手を入れなくて良いのか。 そもそも自然林ではないわけだから、適正に手を入れていく必要はあるのだ。そうでなければ、鴨川市の山林はこのままさらに荒れてしまい、それこそ、自然災害の温床にもなりかねないのである。
私は今回のメガソーラー問題をきっかけとして、市民が山にも目を向けてもらいたいと思っている。 山林の荒廃、竹林の拡大、有害鳥獣の繁殖など、問題はたくさんある。 そして、それらを未来のためにどのように解決し、自然の恵みをいただいていくのか、真剣に議論し、実際に行動しなければならないと思っている。
個人的には、せっかく同じお金をかけるなら、国が進める地方創生をうまく活用して、自然を体感し、学び、さらに自然エネルギーについても考えられるような、自然共生型のネイチャーパークを整備しても良いのではないかと思う。 太陽光発電だけでなく、マイクロ水力発電、バイオマス発電などを山林の中に設置し、電力の自給自足、再生可能エネルギーを深く追求する場とする。また「フォレスト・アドベンチャー」のような山林そのものを活用したアトラクション、あるいは木造も取り入れたスポーツスタジアムや文化施設を建設しても良いかもしれない。 天文関係者の悲願でもある、天文台も建造できるかもしれない。 美しい沢もある地域なので、トレッキングもできる。 ライフスタイルがシフトする中で、昔ながらの里山がいまもなお残る鴨川だからこそできることがある。東京からの距離感を考えても、新たな多くの人たちを呼び込めるポテンシャルは十分にある。
そういった視点から、未来を見つめつつ、地域のみんなで活用を考えていけば、結果、経済的にもみんなが潤える、そんなプロジェクトが実現できそうな気がする。
ピンチをチャンスに! メガソーラー推進派、中立派、反対派、最後はみんながまとまれる、まちづくりが生み出されることを私は信じる。
追記: 山林の問題は実は国土防衛という点においても重要な問題である。 今回のような広大な山林開発の裏に、もし中国などの海外資本が存在するとすれば、問題はさらに大きく変わってくる。 鴨川市には峯岡山分屯基地(レーダー基地)もある。 全国的には実際に↓の記事のような深刻な問題もある。
【北海道が危ない】中国資本の買収「とんでもない事態が進行」特別ツアー参加者が報告書 http://www.sankei.com/life/news/170828/trv1708280002-n1.html
二束三文になった山林を高く買ってくれるところが現れれば、売ってしまうというのは人間の心情でもあろう。 特に経済的に窮していれば、二つ返事で手放してしまうはずだ。
一つの考えとして、手放したい地主から山林をある程度良い条件で国が買い取るという手もあるかもしれない。 これにはもちろん膨大な財源が必要にはなるが、しかし、これも国防の一環と考えればどうだろう。事情は変わる。
以上、さらに他方な視点を追記しておく。
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清澄山系にはこのような立派なモミの木が生えている場所もある。関東ふれあいの道「モミ・ツガの道」にて(2010/12/07 撮影) DSLR-A350 18.00 mm ISO100 1/40 sec f/4.5
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